個人再生のデメリットとは?メリットや向いている人、任意整理や自己破産との違いを解説
借金を大きく減らせますが、もちろんメリットだけでなく、デメリットも存在します。
「個人再生をするとどうなってしまうの?」
「周囲の人にバレる?」
「家や車は処分される?」
そのような疑問を抱えた方に向けて、この記事では個人再生のデメリットについて分かりやすく解説していきます。
- 個人再生をするとブラックリストに載り、5~10年ローンやクレジットカードが使えなくなる
- 手続きには半年~1年かかり、弁護士費用などで50万円以上かかることが多い
- 借金は大幅に減額できるが、一定の収入がないと手続きができない
- 浪費やギャンブルによる借金でも手続き可能
- マイホームや車を手放したくない人には有効な手段
ご相談ください
個人再生のデメリットは主に9つ
早速、本題である「個人再生のデメリット」についてご紹介します。個人再生をすべきか迷っている人にとっては、デメリットも大きな判断材料になりますね。
個人再生をすることのデメリットは、次の9つです。
- ブラックリストに載る
- 手続きには時間と費用がかかる
- 官報に氏名と住所が掲載される
- 家族にバレる可能性がある
- 返済中のローンで購入した物が処分される可能性がある
- 種類を問わずすべての債務が対象となる
- 借金が思うように減らない可能性がある
- 保証人に返済義務が発生する
- 条件を満たさないと個人再生ができない
ブラックリストに載る
個人再生をすると、個人再生をしたという情報が信用情報機関に登録されます。つまり「ブラックリストに載る」状態となり、通常5〜10年は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなります。
特に注意すべきなのは、クレジットカードは新規契約だけでなく、通常通りの利用もできなくなる点です。
個人再生をすると、持っているクレジットカードは強制的に解約されます。また個人再生をしたことが信用情報機関に登録されると、情報が更新されるまでクレジットカードの新規契約が出来ません。
信用情報が回復するまでは、クレジットカードだけでなくローンを組むこともできません。新たに車を買ったり、商品を分割払いで購入したりするのが難しくなります。
手続きには時間と費用がかかる
個人再生の手続きには、通常半年〜1年もの期間がかかります。「借金を減らしたい!」と思って手続きを始めても、すぐに借金が減額されるわけではありません。
個人再生の手続きの流れは以下のとおりです。
- 準備期間: 1か月
- 裁判所への申し立て〜手続き開始: 1か月
- 再生計画案の提出と認可: 4〜6か月
手続きには「再生計画書」のように、多くの書類が必要です。そのため書類の作成にも時間がかかります。
時間だけでなく、個人再生する際は次のようなお金も必要です。
- 弁護士に支払う費用: 50〜60万円
- 裁判所に支払う費用: 数万円〜25万円程度
個人再生の手続きを進めるには、法律の知識が必要です。そのため、一般的には弁護士や司法書士へ依頼することになります。
弁護士費用の支払いが難しいと感じる人は、司法書士に依頼することで費用が安くなる可能性があります。ただし、司法書士は140万円以下の債権しか対応できない点に注意が必要です。また、国が設立した「法テラス」に相談してみるのもおすすめでしょう。
官報に氏名と住所が掲載される
個人再生をすると、官報に氏名や住所が掲載されます。官報とは、国家の決定事項や国民の権利義務に関連する公告を掲載する機関紙です。
自身の名前や住所が公開されるため、知人や職場の人にバレるリスクがあります。
しかし、実際に周囲の人にバレる可能性は低いです。官報を日常的に読む人は限られています。「個人情報の漏洩リスク」についても、そこまで心配する必要はないでしょう。
ただし、以下に当てはまる場所で働いている人は、官報をチェックする頻度が一般的な人よりも高いです。
- 税務署
- 信用情報機関
- 金融機関
家族にバレる可能性がある
個人再生をする場合、家族にもバレてしまう可能性があります。
個人再生をする際、同居家族がいる人は「家族全体の家計収支」を証明する書類が必要です。家族の給与明細書など、家族の収入に関する書類を用意する過程でバレてしまう可能性があります。
また個人再生をする際は、裁判所から郵便物が届きます。もし家族に郵便物が見つかってしまったら、個人再生をすることが家族にバレてしまうかもしれません。
購入時に組んだローンの返済が終わっていない財産は処分される
個人再生をする段階で、購入時に組んだローンがまだ返済中である物品は処分されてしまいます。
特に注意すべきは「車」です。もし自動車ローンがまだ残っている場合は、車を手放さなければなりません。
ただし個人再生をする時点ですでにローンを完済しているものは、処分の対象外です。
また住宅ローンが残っている場合も、住宅を手放す必要はありません(住宅ローン特則)。住宅ローンは個人再生の対象から除外されるため、家を手放さずに済みます。
ただし「住宅ローン特則」が適用されるのは、下記の条件を満たしているものに限られます。
- 住宅ローンとしての借入れであること
- 個人再生の申立人が所有している住宅であること
- 再生債務者の居住用の建物であること
- 住宅を他の借入れの担保にしていないこと
- 滞納による代位弁済後、6ヶ月以内に再生手続開始の申立てをしていること
上記を満たさなければ、住宅も処分されてしまう可能性があります。
種類を問わずすべての債務が対象となる
個人再生をすれば、すべての借入額を圧縮できます。ただし裏を返せば、種類を問わずすべての債務が個人再生の対象となってしまいます。
例えば、友人や家族からお金を借りている人もいるでしょう。しかしそのような個人間の借金も個人再生の対象です。友人や家族からしたら「貸したお金が戻ってこない」という状態になってしまいます。
もし個人間借金を抱えたまま個人再生をしたいのであれば、そのことをあらかじめ相手に伝えておくのがおすすめです。
また「保証人がついている借金」も、すべて個人再生の対象です。例えば奨学金のように、家族が保証人になっている借金が残っている場合、家族が借金を肩代わりしなければなりません。
借金が思うように減らない可能性がある
人によっては、期待していたほど借金の金額が減らない可能性があります。
気をつけなければいけないのが「清算価値保障の原則」です。清算価値保障の原則とは「所有している財産の合計額よりも、借金額は小さくならない」というルールのことです。
「どういうこと?」と疑問に思うかもしれません。具体例として、住宅ローンを完済した人のケースについてご紹介します。
住宅ローンを完済した状態で個人再生をする場合、住宅は「個人再生をする本人の財産」とみなされます。そのため、借金の総額は住宅の価値よりも小さくはなりません。
もし住宅の価値が1,000万円の場合、個人再生をしても借金の総額が1,000万円以下になることはありません。
住宅ローンが残っていたとしても、住宅ローンの残債よりも査定価値が高い場合、その差額が自身の財産としてカウントされます。その金額によって「借金がどれだけ減るか」が変わってしまいます。
住宅だけでなく、ほかにも高価な財産を所有している人は注意が必要です。
また以下のお金は、個人再生の対象外です。
- 税金
- 社会保険料
- 養育費
- 損害賠償債務など
上記の支払額は、個人再生をしたとしても減額されることはありません。決められた金額を不足なく支払う必要があります。
保証人に返済義務が発生する
保証人や連帯保証人がいる借金がある場合、個人再生をすると保証人に返済義務が発生します。保証人は一括で返済する必要があるため、金額によっては大きな負担がかかってしまいます。
もし返済額が大きく、保証人が返済できなければ、最終的に保証人も債務整理をしなければならない状況に陥ることがあります。
そのため個人再生をしても良いかどうか、保証人に対し事前に相談しておきましょう。
条件を満たさないと個人再生ができない
個人再生は、誰でもできるわけではありません。個人再生をするためには、次のような条件を満たす必要があります。
- 借金総額が5000万円以下
- 継続的な収入が見込まれている
- 書類や再生計画に不備がない
- 債権者からの反対がない
借金総額が大きすぎる、安定した収入がないなど、上記の条件を満たせない場合は個人再生ができません。
個人再生は借金総額を大きく減らせる心強い制度ですが、ある程度の基準が設けられていることをきちんと把握しておきましょう。
個人再生にはメリットもある
とはいえ「個人再生は絶対にしないほうがいい」というわけではありません。個人再生にはメリットももちろん存在します。
- 借金を大きく減らせる
- 対象となる借金の理由に制限がない
- 職業による制限がない
- マイホームを残したまま借金を減額できる
- 車を残せる可能性がある
それぞれのメリットについて、ご紹介していきます。
借金を大きく減らせる
個人再生をすれば、借金を5分の1から10分の1程度まで減額できます。もし3,000万円の借金を抱えているとしても、300万円程度に返済額を減らせるかもしれません。
借金を返しきれず困っている人にとっては、非常にありがたい制度ですね。法律に違反することなく借金を減らせるのは、やはり大きなメリットです。
対象となる借金の理由に制限がない
どのような原因の借金であっても、個人再生の対象となります。そのためギャンブルや浪費による借金であっても、返済額を大きく減らせます。
「ギャンブルは自己責任だと言われるけれど、返済がとても苦しい」
「多額の借金は自分への甘さが原因だから、誰にも相談できない」
そのような事情を抱えている人でも、借金の負担を一気に軽減できる可能性があります。
職業による制限がない
職業によっては、自己破産をすると資格が停止され、一定期間働けなくなってしまいます。しかしそのような職業の人でも、個人再生をすることは可能です。
自己破産とは債務整理の一種であり、借金そのものを免除してもらうための手続きです。自己破産は誰でもできるわけではなく、中には自己破産をすると働けなくなってしまう職種が存在します。
自己破産をすると業務が行えなくなる職種の例は以下のとおりです。
- 公認会計士
- 弁護士
- 税理士
- 建築設備資格者
- 質屋
- 国家公安委員会委員
- 補償コンサルタント
- 公正取引委員会の委員長及び委員
- 不動産鑑定業者
- 風俗営業及びその管理者
- 中小企業診断士
- 旅行業者
- 警備員
- 生命保険募集員など
上記のような「他人の財産を預かる職業」の人であっても、個人再生ならできます。該当する職業として働く人にとっては、自己破産よりも個人再生を選ぶメリットのほうがはるかに大きいですね。
マイホームを残したまま借金を減額できる
個人再生なら、住宅を手放す必要がありません。住まいを失うことなく、借金総額を小さくできます。
自己破産の場合、家は差し押さえられてしまいます。しかし個人再生なら、住宅を失うリスクがありません。住宅ローンが残っていても、家は個人再生の対象外となります。
「マイホームを失うのが怖くて自己破産ができない」
と考えている人でも、家を守りながら借金の負担を軽減できます。
車を残せる可能性がある
個人再生をするタイミングで自動車ローンを完済していれば、所有している車も処分されずに済みます。
住宅だけでなく、車も手元に残しておきたいのであれば、自動車ローンを完済してから個人再生をするのがおすすめです。ただし逆に言えば、自動車のローンが残っている状態で個人再生をする場合、車は処分されてしまうため注意しましょう。
個人再生をなるべく早くすべきなのか、それとも自動車ローンを完済してからにすべきなのかは状況によります。弁護士や司法書士などの専門家に相談して決めましょう。
個人再生と任意整理・自己破産との違いは?
個人再生のメリットやデメリットを踏まえた上で、個人再生に向いていない人の特徴についてこれからご紹介していきます。ですがその前に、個人再生以外の債務整理の方法について理解しておくのがおすすめです。
債務整理には個人再生のほかに「任意整理」「自己破産」といった手段があります。状況によっては、個人再生よりも任意整理や自己破産を行ったほうが良いケースもあります。
個人再生と任意整理・自己破産との違いについて理解できていれば、ご自身に合ったベストな方法をよりスムーズに見つけやすいです。
もし「自分が個人再生に向いているかどうかを早く知りたい」という人は、この章は読み飛ばして「個人再生に向いていない人の特徴3選」から読み進めてください。
目的 | 個人再生 | 任意整理 | 自己破産 |
借金の減額内容 | 借金を減額してもらう | 利息をカットしてもらう | 借金そのものを免除してもらう |
借金の減額幅 | 借金総額の5分の1から10分の1程度 | 将来利息分の金額 | 借金の総額すべて |
費用 | 専門家への費用: 50〜60万円 裁判所への費用: 数万円〜25万円程度 | 専門家への費用: 5〜15万円程度 | 専門家への費用: 10〜80万円程度 裁判所への費用: 1〜5万円程度 |
財産の処分 | ローンが残っているものは処分の対象 | なし | 20万円以上の価値がある財産は処分される |
信用情報への影響 | あり | あり | あり |
家族や保証人への影響 | 保証人に返済義務が生じる | 保証人付きの借金を除外することが可能 | 保証人に返済義務が生じる 住居や車を失うことで生活に影響が生じる |
まだ借金の返済状況に多少の余裕があり、利息をカットすれば問題なく返済できるのであれば任意整理がおすすめです。一方、借金の返済が非常に苦しく、借金そのものをゼロにしたいのであれば自己破産を選びましょう。
ただし自己破産をすると、多くの財産が処分されてしまいます。住宅や自動車といった財産を守りつつ、借金も大きく減らしたい人は、個人再生を選ぶのがおすすめです。
個人再生に向いていない人の特徴3選
デメリットもメリットも両方存在する個人再生。人によっては、個人再生をしても得られるメリットが小さく、むしろデメリットが大きくなってしまう可能性があります。
そのため、以下の特徴に当てはまる人は、個人再生をすべきかについて慎重に考えてみましょう。
- 返済能力が低い人
- マイホームや車などの大きな財産を持たない人
- 借金を減額しても住宅ローンの支払いが厳しい人
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
返済能力が低い人
安定した収入がなく、返済能力が低い場合、そもそも個人再生ができない可能性があります。
個人再生をする場合は、裁判所に対し「どのようなペースでいくら返済可能か」という内容の「再生計画書」を提出しなければなりません。また一定期間、決められた金額の返済が可能かテストが行われます。
それらをクリアしなければ、個人再生をするのは難しいです。
また借金が0になるわけではないため、返済義務そのものは残ります。借金を減額しても返済が難しいのであれば、自己破産など他の債務整理を行ったほうが良いでしょう。
マイホームや車などの大きな財産を持たない人
マイホームや自動車のように、手放すことで生活が苦しくなるような財産を持っていない人は、わざわざ自己破産を避けて個人再生を選ぶメリットが少ないです。
自己破産をすると、20万円以上の価値がある財産は手放さなければなりません。処分の対象外となるのは「99万円以下の現金や生活必需品(衣服、家具など)」です。
そのため「20万円以上の価値がある財産」や「99万円を越える現金」を所持していないのであれば、自己破産をしても大きな不利益は生じないでしょう。であるならば、減額するだけでなく借金そのものがなくなる自己破産のほうが効果的です。
もちろん職業や状況によっては、個人再生をしたほうが良いケースもあります。自分ひとりで判断するのではなく、必ず弁護士や司法書士に相談しましょう。
借金を減額しても住宅ローンの支払いが厳しい人
前述したように、個人再生では住宅ローンは対象外となります。家を失わずに済むという点においては大きなメリットですが、逆に言えば「住宅ローンを減額することはできない」ということでもあります。
そのため、住宅ローンの支払いに苦しんでいる人にとっては、個人再生のメリットは小さいでしょう。住宅ローンの負担を減らしたいのであれば、ローン返済中の住宅でも売却できる「任意売却」や自己破産の方が、借金問題の解決に繋がりやすいです。
個人再生に向いている人の特徴3選
個人再生によって得られるメリットが少ない人がいる一方で、個人再生の恩恵を大きく受ける人もいます。もし以下の特徴に当てはまるのであれば、個人再生を前向きに検討してみてもよいでしょう。
- 浪費やギャンブルによって借金をしている人
- 自己破産が難しい職業の人
- 住宅や車などの財産を手放したくない人
もちろん上記に当てはまるからといって、個人再生を気軽にしてもいい、というわけではありません。個人再生のデメリットについて理解した上で、借金問題を解決するためにどうしても個人再生が必要だと考えるのであれば、専門家に依頼してみましょう。
上記の特徴について、さらにわかりやすくご紹介します。
浪費やギャンブルによって借金をしている人
どんな理由であれ、個人再生なら減額の対象となります。そのため浪費やギャンブルなどの理由で借金が膨らんでしまっている人でも、個人再生で借金を大きく減らせます。
ギャンブルや浪費による借金は、自己破産が認められません。しかし個人再生なら、そのような借金を大きく減らせます。
ただし個人再生をするには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。また借入先からの承諾や、裁判所の認可も必要です。
100%借金を減らせるわけではないことを理解した上で、個人再生をしてみるか考えてみましょう。
自己破産が難しい職業の人
自己破産をするのが難しい職業の人でも、個人再生なら制限を受けることなく借金を減額できます。公認会計士や中小企業診断士など、先ほど挙げた例に合致するような職業の人は、自己破産よりも個人再生のほうがおすすめです。
自己破産によって一定期間働けなくなってしまうのは、やはり大きなデメリットですよね。個人再生なら、そのようなリスクを避けられます。
住宅や車などの財産を手放したくない人
個人再生なら自己破産と異なり、住宅や車を手元に残しておける可能性が高いです。
自動車ローンを返済していれば、車は処分されずに済みます。住宅に関してはローンが残っていても処分の対象外となるため、差し押さえられるリスクはありません。
「大事な自分の家や車を手放したくない、でも借金が苦しい」と考えているのであれば、個人再生を検討してみるのがおすすめです。
まとめ
個人再生にはいくつかのデメリットが存在します。また人によっては、メリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまう可能性があります。
そのため、個人再生をする前に専門家へ相談するのが大切です。弁護士や司法書士からのアドバイスをもとに、本当に個人再生をしてもいいのか判断しましょう。
個人再生なら、自己破産のように住宅や車を手放さずに済む可能性が高いです。借金そのものが無くなるわけではありませんが、自身の財産を守りながら借金の負担を大きく減らしたい人におすすめです。
よくある質問
ここからは、個人再生に関するよくある質問に回答していきます。
家族や会社にバレる可能性は?
個人再生をしても、家族や会社に直接通知が届くわけではありません。そのため個人再生をするからといって、必ずしもバレるわけではありません。
ただし以下のケースに当てはまる場合は、個人再生をすることが家族や会社にバレやすいため注意しましょう。
- 会社からの借り入れがある
- 会社が官報をチェックしている
- 個人再生後に借金を滞納している
- 個人再生後に借金を滞納している
- 家族カードを使用している
- 家族が保証人になっている
- 裁判所からの書類を家族が受け取る
どうしても会社や家族にバレずに個人再生をしたい人は、そのことを弁護士などの専門家に相談してみましょう。
個人再生をする際にやってはいけないこととは?
個人再生をする際にやってはいけないことは、以下のとおりです。
- 特定の借入先にのみ返済する
- 裁判所に対し虚偽の申告をする
- 手続費用を支払わない
- 書類の提出を守らない
- 裁判所による履行テストで滞納する
- 手続き中に新たな借入をする
- 個人再生をしたあとにギャンブルや浪費をする
- クレジットカードを現金化する
履行テスト: 減額した借金を本当に返済できるのかテストすること。指定の口座に、定められた金額を毎月納められるかチェックされる。期間は半年程度が一般的。
上記に当てはまることをしてしまった場合、個人再生ができなくなる可能性が高いです。
個人再生ができないケースは?
以下に当てはまる人は、そもそも個人再生ができません。
- 債務総額が5,000万円を超えている
- 安定した収入がない
- 借金を越えるほどの財産を所有している
- 債権者が反対している
上記に当てはまる場合、個人再生をしたくても手続きの段階で断られてしまいます。
また「個人再生をする際にやってはいけないこととは?」で紹介したようなことをしてしまうと、個人再生ができなくなる可能性が高いです。
個人再生をすると妻や家族の貯金はどうなる?
基本的に、個人再生をしても配偶者や家族の貯金には影響しません。
個人再生の手続き段階で、配偶者の収入・貯金に関する書類を裁判所に提出するケースもあります。その場合、家族名義の財産が財産目録に計上される可能性はありますが、実際にその財産が没収されることはありません。
そのため「家族の貯金に何かしら悪影響が生じてしまうのでは?」と不安にならなくても大丈夫です。
ただし家族が保証人になっている場合は、家族が借金を肩代わりしなければなりません。
個人再生をするとクレジットカードは使えなくなる?
個人再生をすると、クレジットカードは5〜10年程度使用できなくなります。
個人再生をする際、所持しているクレジットカードはすべて強制的に解約となります。また信用情報機関に個人再生をしたという情報が登録されるため、新たにクレジットカードを発行することもできません。
個人再生をしてからクレジットカードを使いたい場合は、信用情報機関の情報が更新されるまで待つ必要があります。一般的に5〜10年間で信用情報が更新されるため、その後は通常通りクレジットカードを新たに発行できます。
個人再生をしたら後悔する?
個人再生をした後に後悔するかどうかは、手続き後の返済状況によって大きく異なります。
もし計画通りに問題なく返済できれば、後悔は少ないでしょう。ただし計画を守れず、せっかく手続きをしたのに個人再生ができなかった場合は、時間やお金がすべて無駄になってしまいます。
また個人再生によって借金を減らせても、支払いが難しいのであれば結局自己破産をすることになるかもしれません。
無理のない再生計画を立て、決められたとおりに返済を進めましょう。