任意整理のデメリットとは?しないほうがいい人の特徴や具体的なケースを分かりやすく解説
任意整理を検討する際は、これらのデメリットをしっかりと理解した上で手続きを進める必要があります。
この記事では、任意整理をする前にしっておくべきデメリットと「本当に任意整理したほうがよいのか」の判断基準を説明します。
- 信用情報に事故情報が載る(ブラックリストに入ってしまう)
- ローン返済中の物品が債権者に回収されるリスク
- 連帯保証人に借金を肩代わりさせてしまうリスク
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任意整理をすると生じるデメリットは3つ
任意整理によるデメリットは以下の3つです。それぞれのデメリットが私生活にどう影響するのか解説します。
- 信用情報に事故情報が載る(ブラックリストに入ってしまう)
- ローン返済中の物品が債権者に回収されるリスク
- 連帯保証人に借金を肩代わりさせてしまうリスク
信用情報に事故情報が載る(ブラックリストに入ってしまう)
任意整理を行うと、信用情報機関に「事故情報」が登録されます。
これは一般的に「ブラックリストに載る」と言われる状態です。
信用情報機関とは、個人のクレジットやローンの利用履歴を記録・管理している機関です。(CICやJICCなど)
クレジットカード会社やローン会社は、新規契約や融資の審査を行う際に、信用情報機関に登録されている情報を確認します。
事故情報が登録されてしまうと、クレジットカードやローンの審査に通りにくくなるため、新規のクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなります。
ブラックリストに入ってしまうとクレジットカードやローンは作れない・組めない
ブラックリストに載ると、様々な金融取引に制限がかかります。具体的には、以下のような制限があります。
- 任意整理を行うと、現在所有しているクレジットカードが利用できなくなるだけでなく、新規でクレジットカードを発行することも難しくなります。
- 住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど、あらゆるローンの審査が厳しくなり、借り入れが難しくなります。
- 消費者金融などからのキャッシングも、同様に審査が厳しくなります。
- 携帯電話を分割払いで購入する場合、信用情報が照会されるため、ブラックリストに載っていると分割払いが利用できない場合があります。
ただし、これらの制限はずっと続くわけではなく、任意整理後、借金の完済から5〜7年程度で解除されます。しかし、その間はクレジットカードやローンを利用できないため、生活に大きな支障が出る可能性があるため注意しましょう。
また、保有しているクレジットカードは任意整理の対象にしなかったとしても、将来的に使えなくなる可能性もあります。
ローン返済中の物品が債権者に回収されるリスク
クレジットカードやローンで購入した物品は、支払いが完了するまでは、債権者が所有権を持っている場合があります。
例えば、マイカーローンで車を購入し、まだローンが残っている状態で任意整理を行った場合、債権者である金融機関は、車の所有権を主張し、車を回収する権利があります。
- PC
- スマホ
- 車
- 物件
- 生活に必須の家電
任意整理を行う前に、ローン返済中の物品がないか確認し、回収される可能性がある場合は、その物品を手放すか、任意整理の対象から外すなどの対策を検討する必要があります。
連帯保証人に借金を肩代わりさせてしまうリスク
借金の契約時に連帯保証人を立てている場合、債務者が任意整理を行うと、連帯保証人に借金の返済義務が移ってしまいます。
任意整理によって債務者の返済が滞ると、債権者は連帯保証人に一括返済を求めることができるため、連帯保証人に大きな負担がかかってしまいます。
連帯保証人を立てている借金がある場合、または連帯保証人が立ててあるか分からない借金に関しては、任意整理をする前によく確認しましょう。
間違っても、自分の借金がなくなるならいいかと思い、連帯保証人に借金を肩代わりさせるようなことはやめましょう。人間関係はお金では買えませんからね。
任意整理のデメリットの対処法は?
任意整理のデメリットを把握した上で、「それでも任意整理するしかない」と決断した方もいるでしょう。任意整理のデメリットは、必ずしも諦めるしかないわけではありません。いくつかの対処法があります。
任意整理を検討する際は、デメリットだけでなく、その対処法も理解した上で手続きを進めるようにしましょう。
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ブラックリストに関しては決済手段を工夫すればOK
任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストに載ると、クレジットカードやローンの利用ができなくなるため、生活に不便が生じる可能性があります。
しかし、ブラックリストへの登録を回避することはできませんが、その影響を最小限に抑える方法はあります。
それは、クレジットカード以外で現金を用いない決済手段を使う方法です。
現在ではクレジットカード以外にも便利な決済手段が存在します。
- デビットカード: 口座残高の範囲内で利用できるため、使いすぎの心配がありません。
- プリペイドカード: あらかじめチャージした金額分だけ利用できます。
- 電子マネー: スマホアプリなどを利用したキャッシュレス決済も普及しています。
これらの決済手段を利用することで、クレジットカードがなくてもある程度不便なく生活できるはずです。
また、ローンが組めなくなることに対する不安もあると思います。しかし、任意整理が必要なほどに家計が圧迫されているのであれば、新規にローンを組むのはリスクの高い行為といわざるを得ません。
まずは、任意整理をして借金を完済することを第一目的にしましょう。
ローン返済中のものが回収されるのが困るのであれば任意整理先を選べばある程度回避出来る可能性がある
任意整理では、債権者を選ぶことができます。
そのため、ローン返済中の物品をどうしても手放したくない場合は、その物品の購入に利用したローン会社を任意整理の対象から外すという方法があります。
例えば、自動車ローンを組んでいるA社と、クレジットカードを利用しているB社がある場合、B社のみを任意整理の対象にすることで、自動車を回収されるリスクをある程度回避できます。
ただし、任意整理の対象から外した債権については、従来通りの条件で返済を続ける必要があるため、返済計画をよく検討する必要があります。
連帯保証人が設定されている債権に関しては「事前調査」で回避可能
任意整理を行う前に、どの債権に連帯保証人が設定されているかを把握しておくことが重要です。
連帯保証人が設定されている債権を任意整理の対象に含める場合は、事前に連帯保証人に相談し、理解を得ることが必要です。
また、連帯保証人に迷惑をかけたくない場合は、連帯保証人が設定されている債権を任意整理の対象から外すことができます。
ただし、その場合も、従来通りの条件で返済を続ける必要があるため、返済計画を慎重に検討する必要があります。
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デメリットを踏まえた任意整理をしないほうがいい人の特徴とは?
任意整理は、借金問題を解決する有効な手段ですが、すべての人に適しているわけではありません。
任意整理のデメリットを踏まえると、場合によっては他の方法を選択した方が良いケースもあります。
任意整理を行う前に、自身の状況をよく確認し、本当に任意整理が必要かどうかを慎重に判断することが重要です。
結論、任意整理をしないほうがいい人の特徴は以下の通り。
- 借金返済の目処が立っている人
- 今後ローンや賃貸契約ができないと生活に困ってしまう人
- 定期収入が安定せず元金の分割払いも厳しい人
- 見込める収入に対して借金額が大きすぎる人
それぞれ、なぜ任意整理をしないほうがよいのかを説明します。
借金返済の目処が立っている人
現在の収入で無理なく返済を続けられる見込みがある場合は、任意整理をする必要はありません。
任意整理を行うと、信用情報に傷がつき、今後のクレジットカードやローンの利用に影響が出てしまいます。
借金返済の目処が立っている場合は、任意整理以外の方法で返済計画を見直し、無理なく借金を完済することを目指しましょう。
今後ローンや賃貸契約ができないと生活に困ってしまう人
任意整理を行うと、ブラックリストに載り、クレジットカードやローンの利用が制限されます。
そのため、今後住宅ローンを組む予定がある方や、自動車ローンを利用する可能性が高い方は、任意整理を行う前に慎重に検討する必要があります。
また、賃貸住宅を借りる際にも、一部の保証会社では信用情報が照会される場合があります。任意整理を行うと、審査に通りにくくなる可能性があるため、注意が必要です。
定期収入が安定せず元金の分割払いも厳しい人
任意整理は、将来の利息をカットすることで毎月の返済額を減らすことができますが、元本の返済は免除されません。
そのため、任意整理後も、3〜5年かけて元本を分割返済する必要があります。
安定した収入がない場合や、収入が不安定な場合は、任意整理後の返済が難しくなる可能性があります。
そのような場合は、自己破産など、他の債務整理の方法を検討する必要があるでしょう。
見込める収入に対して借金額が大きすぎる人
任意整理を行う場合、3〜5年で完済できる見込みがあることが条件となります。
収入に対して借金が多すぎる場合、任意整理を行っても、現実的な返済計画を立てることは難しいでしょう。
そのような場合は、個人再生や自己破産など、借金の減額幅が大きい債務整理の方法を検討する必要があります。
任意整理では借金問題を解決できなさそうな場合はどうすればよい?
任意整理は、借金問題解決のための有効な手段ですが、すべての人に最適な方法とは限りません。
収入が不安定だったり、借金の額が多すぎたりする場合には、任意整理では借金問題を根本的に解決できない可能性があります。
任意整理では、借金問題が解決できなさそうな場合には以下の2つの債務整理が適している可能性があるので確認してみましょう。
- 自己破産
- 個人再生
自己破産とは?
自己破産とは、裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
自己破産が認められると、税金や養育費などの例外を除き、原則すべての借金の返済義務がなくなります。
自己破産は、借金が大きすぎて返済が不可能な場合や、収入が少なくて返済の見込みがない場合などに有効な手段です。
しかし、自己破産には、以下のようなデメリットもあります。
- 財産の喪失: 家や車などの高額な財産は、原則として処分されます。
- 官報への掲載: 自己破産の手続きが官報に掲載されます。
- 職業制限: 一部の職業に就けなくなる場合があります。
- 信用情報への影響: ブラックリストに載り、クレジットカードやローンの利用が制限されます。
自己破産は、強力な債務整理の方法ですが、デメリットも大きいため、慎重に検討する必要があります。
個人再生とは?
個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を減額してもらい、残りの借金を3〜5年かけて分割返済する手続きです。
個人再生は、自己破産のように借金が全額免除されるわけではありませんが、借金の額を大幅に減額できるため、返済の負担を大きく軽減することができます。
また、個人再生では、自己破産のようにすべての財産を失うわけではありません。住宅ローンが残っている自宅は、一定の条件を満たせば、そのまま所有し続けることができます。
個人再生は、任意整理では借金の返済が難しい場合や、自己破産のデメリットを避けたい場合に有効な手段です。
しかし、個人再生にも、以下のようなデメリットがあります。
- 裁判所への申し立て: 裁判所を通して手続きを行うため、時間と費用がかかります。
- 返済義務: 借金は減額されますが、残りの借金を返済する義務は残ります。
- 信用情報への影響: ブラックリストに載り、クレジットカードやローンの利用が制限されます。
個人再生は、自己破産よりもデメリットが小さい債務整理の方法ですが、それでも慎重に検討する必要があります。
まとめ
任意整理は、借金の返済額を減らし、生活を立て直すための有効な手段ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。
任意整理を行う前に、メリット・デメリット、費用、手続きの流れなどをしっかりと理解し、本当に自身にとって最適な方法かどうかを慎重に判断することが重要です。
借金問題でお悩みの方は、一人で悩まずに、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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任意整理に関するよくある質問

任意整理をして後悔してしまうケースを教えてください
任意整理で後悔するケースとして多いのは、任意整理のデメリットをよく理解せずに手続きを進めてしまった場合です。
例えば、任意整理を行うと信用情報に傷がつき、クレジットカードやローンの利用が制限されます。
このことを知らずに任意整理を行い、その後、住宅ローンを組めなくなったり、車の購入ができなくなったりして後悔するケースがあります。
また、任意整理を行うと、債権者によっては、取引履歴の開示請求に応じなかったり、和解交渉が難航したりする場合があります。
任意整理を行う前に、デメリットやリスクをよく理解しておくことが重要です。
任意整理の費用を払えるか不安な場合はどうすればよいですか?
任意整理の費用を払えるか不安な場合は、弁護士や司法書士に相談してみましょう。
費用の分割払いや後払いに対応している事務所もあります。また、法テラスなどの公的機関の利用も検討できます。
法テラスでは、一定の条件を満たせば、弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらうことができます。
任意整理の流れを教えてください
任意整理は、一般的に以下のような流れで進みます。
- 弁護士や司法書士に相談: 借金の状況や今後の希望などを相談します。
- 委任契約: 弁護士や司法書士に任意整理を依頼する契約を結びます。
- 受任通知: 弁護士や司法書士から債権者へ、任意整理の受任を通知します。
- 取引履歴の開示請求: 債権者から過去の取引履歴を取り寄せます。
- 和解交渉: 弁護士や司法書士が債権者と和解交渉を行います。
- 和解契約: 債権者と和解契約を結びます。
- 返済開始: 和解契約に基づき、借金の返済を開始します。
任意整理の手続きは、弁護士や司法書士が代行してくれますので、ご自身で複雑な手続きを行う必要はありません。