自己破産手続きの流れを弁護士がわかりやすく解説!期間や失うものも分かる

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自己破産とは、借金問題を抱えている人が経済的にやり直すための法的な手続きです。

自己破産をすることで、債務者(借り手)には以下のメリットが考えられます。

・借金の支払い義務が免除される
・債権者からの取立てを止められる

ただ、自己破産はどのような流れで行われるのか、期間はどれくらいかかるのかなど疑問も多くありますよね。

今回は、自己破産の流れ、そして自己破産中にやってはいけないNG行動をあわせて解説します。
この記事でわかること
  • 自己破産をすると借金の支払い義務が免除され、債権者からの取立ても止まる
  • 自己破産の手続きの流れや完了までの期間を詳しく解説
  • 自己破産中にやってはいけないNG行動があるため注意が必要
  • 手続きの進め方を理解し、スムーズに進めるためのポイントを紹介
お困りのことがあればお気軽に
ご相談ください

自己破産に必要な手続きは?

自己破産の手続きには、大きく分けて「管財事件」と「同時廃止」の2種類があります。

「管財事件」は、裁判所が選任した破産管財人が、破産者の財産を管理・処分して債権者に分配する手続きです。管財事件には、さらに「少額管財」と「通常管財」の2つがあります。

「同時廃止」は、破産者の財産がほとんどない場合に、破産手続きの開始と同時に廃止する手続きです。

管財事件同時廃止
破産者に一定額(概ね20万円)以上の財産がある場合破産者に、ほとんど財産がない場合

個人の自己破産で、同時廃止にならない場合は、ほとんどが「少額管財」になります。

そのため、借り手(借金をしている人)側で最初に必要な手続きとしては、弁護士への依頼・契約のみです。

それ以外の

  • 受任通知の送付
  • 債権調査
  • 申立

などの手続きは弁護士が担当してくれます。

自己破産の手続きに必要なものは?

自己破産には以下の書類が必要になります。

依頼者本人が準備する書類
  • ・住民票
  • ・預金通帳のコピー
  • ・家計支出表
  • ・戸籍謄本
  • ・給与明細
  • ・源泉徴収票
弁護士が準備する書類
  • ・申立書
  • ・債権者一覧表
  • ・陳述書(報告書)
  • ・資産目録
  • ・委任状

また、場合によっては次の書類も必要となります。

  • 車検証
  • 固定資産評価証明書
  • 不動産の査定書
  • 住宅ローン残高証明書
  • 登記事項証明書のコピー
  • 保険証券
  • 生命保険の解約返戻金計算書のコピー
  • 税金滞納用の債権者一覧表
  • 不動産登記事項証明書
  • 不動産評価額関係書類
  • ローン残高証明書

このように、自己破産には多くの書類が必要であり、すべての書類を自力で準備するのは容易ではありません。

そのため、まずは弁護士に相談して「ご自身の状況に合わせて必要な書類は何なのか」を確認してから必要書類を収集することが大切です。

自己破産の流れ

自己破産の流れは「管財事件」「同時廃止」によって多少異なります。

同時廃止の場合、破産管財人が選任されず、破産手続き開始と同時に廃止となるため、基本的に書類審査だけで終わります。

それぞれの主な流れとしては次のとおりです。

管財事件の場合

工程内容
弁護士への相談・契約依頼主が弁護士に借金の相談、自己破産の依頼契約をします。
受任通知の送付依頼を受けた弁護士が債権者(貸し手)に対して、受任通知の送付を行う。 受任通知を行うと、債権者は借り手への取り立てができなくなります。
債権調査債権者に対して、債務内容を調査・確認します。 債権者から取引履歴等を取り寄せ、現在の負債額などを調査・確認。
申立裁判所に対して破産手続を開始し、免責許可の申立てをします。
破産管財人の選任・面談申立後、裁判所が破産管財人(弁護士が選任する、当事者と利害関係のない弁護士)を選任します。 破産管財人との面談があり、事情の説明や財産等の引継ぎを行います。
破産手続開始決定裁判所は、借金等を支払う資力がないと判断すると、破産手続開始決定を出します。 以後、破産管財人による調査が開始。
債権者集会裁判所において、債務者、弁護士、破産管財人、債権者が集まり、破産管財人から財産状況等の報告や免責に関する意見が出されます。
免責審尋裁判官による免責審尋が行われ、自己破産を認めるかどうかが判断されます。
免責許可決定裁判所が免責を認めると、免責許可決定が出され、官報に公告されます。

同時廃止型の場合

工程内容
弁護士への相談・契約依頼主が弁護士に借金の相談、自己破産の依頼契約をします。
受任通知の送付依頼を受けた弁護士が債権者(貸し手)に対して、受任通知の送付を行う。 受任通知を行うと、債権者は借り手への取り立てができなくなります。
債権調査債権者に対して、債務内容を調査・確認します。 債権者から取引履歴等を取り寄せ、現在の負債額などを調査・確認。
申立裁判所に対して破産手続を開始し、免責許可の申立てをします。
破産尋問申立てをする裁判所の方針や案件内容によって異なりますが、申立後、破産審尋期日(裁判所に出頭する日)が指定され、裁判官から破産に至った経緯等の質問を受けることがあります。
破産手続開始決定裁判所は、借金等を支払う資力がないと判断すると、破産手続を開始する旨の決定と、同時に破産手続が終了する旨の決定を出します。
免責審尋破産手続終了後、裁判所が免責の可否を判断する上で、免責審尋期日が指定され、裁判官から免責判断に必要な質問を受けることがあります。
免責許可決定免責審尋を経て、裁判所が免責を認めると免責許可決定が出され、官報に公告されます。これにより、原則として借金の返済義務が免除されます。

工程は多くありますが、ご自身一人で対応しなければいけない内容は少ないので、気負いする必要はありません。

自己破産にかかる期間の目安

自己破産の対象となる債権の複雑さや債権者の数によって期間は異なりますが「概ね6〜8ヶ月」で自己破産が完了するケースが多いです。

自己破産の期間がどれくらいかかるのか、借金をしている業者が多いけど大丈夫かな…などの疑問や不安がある場合には、まず弁護士等の無料相談を活用してみましょう。

自己破産中の返済はどうすればいい?

「自己破産中の返済はどうすればいいの?」と疑問に思う方もいますよね。

結論としては弁護士から「受任通知」を債権者に対して送ります。

この通知が届いた時点で、債権者はあなたへの取り立てを一時的に停止しなければなりません。

つまり、受任通知が送られた後は、借金の返済を続ける必要はありません。

自己破産中にやってはいけないNG行動

自己破産を考えているのであれば必ず知っておいていただきたいNG行動が9つあります。

自己破産中にやってはいけないNG行動は以下の9つです。

  • 新規の借り入れ行為
  • 闇金の利用
  • 財産を隠す行為
  • 一部の債権者を隠す行為
  • 一部の債権者への返済行為(偏頗弁済)
  • 裁判所や破産管財人、申立代理人弁護士に協力しない
  • 弁護士、裁判所への虚偽申告をする
  • 浪費
  • 換金行為

それぞれ、具体的にどんな行為がNGなのか、なぜNGなのか確認していきましょう。

新規の借り入れ行為

自己破産の手続き中は、新たな借金をしてはいけません。

これは、自己破産が、現在の借金を整理するための手続きだからです。

手続き中に新たな借金をしてしまうと借金の総額が増えてしまい、自己破産の意味がなくなってしまいます。

また、返済能力がないにもかかわらず借金をすることは、詐欺罪に問われる可能性もあります。

闇金の利用

自己破産をすると、信用情報に事故情報が記載され「金融ブラック」という状態になります。

金融ブラックの場合、新たな借入やクレジットカードの作成、ローンを組むことなどが難しくなります。

だからといって、闇金に手を出すことは絶対に避けましょう。闇金の利用は借金の返済から最も遠い行為です。

もし、闇金からお金を借りてしまった場合には、速やかに弁護士に相談しましょう。

闇金問題に関する解説はこちら

財産を隠す行為

自己破産の手続きでは、すべての財産を正直に申告しなければなりません。

財産を隠したり、虚偽の申告をしたりすることは免責不許可事由にあたります。

財産を隠すと、免責が許可されなくなるだけでなく、詐欺破産罪に問われる可能性もあります。

詐欺破産罪は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる重い犯罪です。

一部の債権者を隠す行為

自己破産の手続きでは、すべての債権者を申告しなければなりません。

一部の債権者を隠すと、免責が許可されなくなる可能性があります。

また、隠していた債権者から、後で取り立てを受ける可能性もあります。

一部の債権者への返済行為(偏頗弁済)

自己破産の手続き中は、一部の債権者だけに返済をしてはいけません。

これは、債権者平等の原則に反する行為です。

特定の債権者だけを優遇すると、他の債権者から不公平だとみなされ、自己破産の手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。

裁判所や破産管財人、申立代理人弁護士に協力しない

自己破産の手続きでは、裁判所や破産管財人、申立代理人弁護士に協力しなければなりません。

裁判所からの指示に従わなかったり、破産管財人からの質問に答えなかったりすると、免責が許可されなくなる可能性があります。

弁護士、裁判所への虚偽申告をする

自己破産の手続きでは、弁護士や裁判所には、絶対に嘘をついてはいけません。

虚偽の申告は、破産法(252条1項6〜8号)で免責不許可事由と定められており、免責が認められなくなってしまいます。

虚偽申告となる行為の例
  • ・破産審尋で裁判官の質問に対して無回答(説明拒否)をする、または嘘をつく
  • ・債権者名簿に親戚だけ載せない
  • ・債権者名簿に架空の人物を載せる
  • ・自営業者の帳簿を偽造する
  • ・裁判所に通帳を提出せず、隠す

これらは法律で禁止されているので、絶対にやってはいけません。

特に、債権者名簿の偽造は「文書偽造罪」という犯罪になる可能性もあります。

浪費

自己破産の手続き中は、ギャンブルや浪費はやめましょう。

もし、ギャンブルや浪費をしていることが裁判所にバレてしまうと、免責にならなくなる可能性があります。

そもそもとして、ギャンブルや浪費を理由とした借金は、免責不許可事由に該当しますよね。

自己破産の手続き中は、ギャンブルや浪費を控え、真面目に生活していることを示すことが大切です。

換金行為

自己破産中はクレジットカードのキャッシング枠を使って現金化したり、商品券を換金したりする換金行為はNGです。

換金行為は、免責不許可事由に該当するため、免責が許可されなくなる可能性があります。

意図的にすると免責を受けられなくなりますよ。

自己破産の費用目安

自己破産の費用相場は「50〜130万円程度」と言われています。複数の債権者がいる場合「結構お金がかかるな」と思うのも無理ありません。

自己破産を考えている人の多くは「借金からきれいさっぱり解放されたい」と思っているはず。その方法のひとつが自己破産です。

ですから、自己破産の費用を払った方が長期的にプラスになるのであれば、まずは相談から始めることをおすすめします。

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