自己破産するデメリットは?影響やできなくなることを弁護士が解説
・ブラックリストに5〜7年記録される
・賃貸契約の審査が難しくなる
・一部の職業に就けなくなる
・高価な財産を処分される
・官報に掲載される
・家族にバレる
・保証人に迷惑がかかる
自己破産を検討する際は、これらのデメリットをしっかりと理解した上で手続きを進める必要があります。
また、自己破産のデメリットに関して、間違った知識を持っている方も多くいるのも事実です。
この記事では、自己破産をする前にしっておくべきデメリットと、よくある自己破産についての誤解について解説していきます。
- 自己破産するとブラックリストに5〜7年記録され、クレジットカードやローンが利用できなくなる
- 賃貸契約の審査が厳しくなり、一部の職業には一定期間就けなくなる
- 20万円以上の財産は処分され、保証人に返済義務が発生する
- 戸籍や住民票には記載されず、選挙権や年金受給などの基本的権利は影響を受けない
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自己破産の7つのデメリット
自己破産は、借金問題を解決するための有効な手段の一つですが、同時にいくつかのデメリットが存在するのも事実。
自己破産の具体的なデメリットとしては次の7つが挙げられます。
- ブラックリストに5〜7年記録される
- 賃貸契約の審査が難しくなる
- 一部の職業に就けなくなる
- 高価な財産を処分される
- 官報に掲載される
- 家族にバレる
- 保証人に迷惑がかかる
それぞれ詳しく解説します。
ブラックリストに5〜7年記録される
自己破産の代表的なデメリットとして、信用情報機関に「事故情報」として登録されることが挙げられるでしょう。
これは一般的に「ブラックリストに載る」と言われるもので、5年から7年間(2022年11月以前の場合は5年から10年)は記録が残ります。
この期間中は、クレジットカードの発行や住宅ローンやマイカーローンなどの利用が難しくなります。
つまり、自己破産は借金問題を解決できる一方、信用情報に傷がついてしまうという事です。
自己破産しなくてもブラックリストに載っている可能性はある
自己破産=ブラックリストと考える方もいるかもしれませんが、実は自己破産をしなくてもブラックリストに載る可能性はあります。
クレジットカードやローンの支払いを延滞したり、携帯電話の料金を滞納したりするなど、信用情報に傷をつける行動をとるとブラックリストに載ることはあるでしょう。
そのため、今はギリギリ支払えていても、滞納が続くとブラックリストに登録される可能性がある点は注意が必要です。
デビットカードなどは使える
自己破産をすると、クレジットカードが使えなくなるなど、生活に不便が生じるのではないかと心配する方もいるかもしれません。
しかし、デビットカードやプリペイドカードは、自己破産後も問題なく利用できます。
デビットカードは、事前にチャージした金額の範囲内で利用できるため、自己破産をしてブラックリストに載っていても、発行や利用に制限がかかることはありません。
例えば、銀行口座に10万円を入金してデビットカードと紐づけていれば、その10万円の範囲内で買い物や公共料金の支払いができます。
確かにクレジットカードではないので多少不便に感じる場面はあるかもしれませんが、キャッシュレスでの支払いができるという点では、クレジットカードと大きな違いはありません。
賃貸契約の審査が難しくなる
自己破産をすると、賃貸住宅の契約審査が厳しくなる場合があります。
多くの賃貸物件では、入居時に家賃保証会社の利用が必須です。家賃保証会社は入居者の家賃支払い能力を審査しますが、自己破産の手続き中は信用情報に事故情報が登録されるため、審査に通ることが難しくなります。
例えば、家賃保証会社の審査に通らず保証を受けられない場合は、連帯保証人を立てる必要が生じるかもしれません。
自己破産の手続き中は新たな賃貸契約を結ぶことを避け、可能な限り現在の家に住み続ける方が良いでしょう。
また、破産手続き中の引っ越しには裁判所の許可が必要な点は注意が必要です。
一部の職業に就けなくなる
自己破産をすると、一定期間、一部の職業に就けなくなることがあります。
具体的には
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 不動産鑑定士
- 警備員
- 生命保険募集人
など が挙げられます。
ただし、制限されるのは自己破産の手続き中のみです。
具体的にいえば、裁判所への申立後から免責決定(借金が免除になる決定)が確定するまでの期間となっています。
自己破産の申立内容によっても期間は多少前後しますが、一般的には3ヶ月〜半年程度で制限は解除されるでしょう。
高価な財産を処分される
一定以上の価値がある財産は処分されてしまいます。
債権者に公平に配当するため、換価できる財産は現金化して分配する必要があるからです。
具体的には、20万円以上の価値があるものが処分の対象となります。
例えば、20万円以上の預貯金、不動産、自動車、貴金属などが処分対象となる可能性があるでしょう。
自己破産は、借金は免除されるものの財産を失う可能性があるということです。
官報に掲載される
自己破産のデメリットとして、ブラックリスト入りに次いで有名なのが「官報に掲載される」ことでしょう。
自己破産すると、官報という国が発行する新聞のようなものに氏名や住所が掲載されます。
そのため、官報を見れば破産した事実が知られてしまうという点はデメリットと言えます。
自己破産の情報を一般人が目にする機会はほとんどない
「官報を見れば破産した事実が知られてしまう」とは書きましたが、一般の方が官報を見る事はほぼゼロと言っても良いでしょう。
あなたや、あなたの周りも含めて定期的に官報をチェックしている人を見たことないですよね。
そのため、実際には官報の掲載によって自己破産が周囲に知れ渡ってしまう可能性は極めて低いと言えます。
保証人に迷惑がかかる
自己破産すると、借金の返済義務は免除されますが、保証人に迷惑がかかってしまう事を忘れてはいけません。
自己破産の手続きでは裁判所から保証人に連絡が行き、債務の状況などが通知されます。
そして、あなたが借金を返済できなくなった場合、保証人が代わりに返済する義務を負います。
保証人は、あなたの家族や親戚、友人など、あなたと親しい間柄の人であることが多いでしょう。
そのため、自己破産は金銭的な負担だけでなく、精神的な負担も保証人に強いる可能性があります。
自己破産を検討する際には保証人への影響も十分に考慮し、誠意をもって対応することが大切です。
破産管財人に郵便物が転送される
自己破産の手続き中は、破産管財人に郵便物が転送されます。
これは、郵便物を確認することで、破産者が財産を隠匿したり、処分したりすることを防ぐためです。
例えば、破産者が預金口座を持っていることを隠していた場合、銀行からの郵便物を破産管財人が確認することで、その口座の存在が明らかになりますよね。
つまり、自己破産の手続き中は、破産管財人に郵便物を常に確認される可能性があるということを覚えておきましょう。
自己破産に関するよくある誤解
自己破産と言うとマイナスなイメージが先行しているためか、事実とは異なる情報が広がりがちです。
自己破産に関するよくある誤解としては、次の7つが挙げられます。
- 年金を受け取れなくなる
- 選挙権を失う
- 日本から出られなくなる
- 一生ローンを組んだりカードを作れなくなる
- 会社にバレて解雇される
- 戸籍や住民票に記載される
- 子どもの進学に影響がある
ここでは、自己破産に関するよくある誤解を解決していきたいと思います。
年金を受け取れなくなる
自己破産をしても、原則として国民年金や厚生年金などの公的年金の受給には影響がありません。
公的年金が「差押禁止財産」に分類されているためで、受給権は法律によって保護されているからです。
そのため、すでに年金で生活している方も、今後の年金支給がなくなることはありません。
また、現在働いている方も老後に年金を受給できます。
選挙権を失う
選挙権は、年齢や経済状況に関わらず、日本国民が持つ基本的な権利の一つです。
自己破産は、借金に関する法的処置であり政治参加の権利を奪うものではありません。
そのため、自己破産の手続き中であっても、手続き後であっても、選挙権には一切影響ありません。
日本から出られなくなる
自己破産をすると、日本から出られなくなるというのは誤解です。
自己破産は、国内の債務整理に関する手続きであり、渡航の自由を制限するものではありません。
ただし、破産手続き中は裁判所の許可を得る必要があります。これは、破産者が海外に逃亡したり、財産を隠匿したりすることを防ぐためです。
一生ローンを組んだりカードを作れなくなる
自己破産をすると、一生ローンを組んだりカードを作れなくなるということはありません。
自己破産後にローンを組んだりカードを作れなくなるのはブラックリストに登録されている5年から7年( 2022年11月以前の場合は5年から10年)の期間のみです。
そのため、自己破産をして5から7年経過し、ブラックリストから抹消されれば自己破産が原因で審査に落ちることはなくなります。
会社にバレて解雇される
自己破産をすると会社に知られてしまい、解雇されるのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかし、それは誤解です。
裁判所や弁護士から会社に自己破産を知らせることはありませんし、会社の人が官報を読む可能性も限りなく低いでしょう。
そもそも、仮に会社に自己破産を知られたとしても、法律上、自己破産を理由に解雇することはできませんのでご安心ください。
戸籍や住民票に記載される
自己破産は、個人の債務整理に関する情報であり、戸籍や住民票に記載されることはありません。
そのため、戸籍や住民票から自己破産したことを知られることはないので安心してください。
子どもの進学に影響がある
自己破産をすると、子どもの進学に影響があるのではないかと心配する依頼者の方もいらっしゃいますが、完全に誤解ですので安心してください。
自己破産は、あくまでも親自身の借金問題であり、子どもの進学とは全く関係ありません。
子どもの進学先が、親の信用情報を調査することはありませんし、自己破産を理由に入学を拒否されることもありません。
むしろ、親の自己破産を理由に子どもの受け入れを拒否することは、法的に問題となる可能性があります。
そのため、お子さんの進学を心配して自己破産をためらっている方は、安心していただいて大丈夫です。
まとめ
自己破産は借金問題を解決するための有効な手段の一つですが、いくつかのデメリットが存在するのも事実。
自己破産を検討する際には、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、慎重に判断することが大切です。
もし、自己破産について悩んでいるのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。当事務所では、あなたの状況に合わせて、適切なアドバイスをさせていただきます。
自己破産のデメリットに関するよくある質問
自己破産するとその後の人生はどうなるのでしょうか?
自己破産をしたからと言って人生が終了するわけではありません。
自己破産は借金問題を抱えている人が経済的にやり直すための法的な手続きです。
確かに信用情報に傷がついたり、財産を処分されるなどのデメリットがあるのも事実。
ですが、破産手続開始後の財産は自由に持てますし、年金や生活保護の受給にも影響はありません。