時効の援用後は連絡なしが基本?時効の援用が成功したかどうか確認する方法を紹介
時効の援用は時効援用通知書を内容証明郵便で債権者に送付すれば完了です。内容証明郵便の送付は、個人でも行なえますが弁護士に手続き依頼を代行するとより確実です。
しかし、内容正面郵便の送付後、債権者から何も音沙汰がなければ心配になる方もいるでしょう。また、時効の援用が成功したか確実に確かめたい方もいると思います。
今回は、時効の援用が成功したかどうか確認する方法や注意点を紹介します。
借金の時効援用の利用を検討している方や借金の時効について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ご相談ください
時効の援用が成立していれば「債権者から連絡なし」のケースが多い
借金の時効が成立すれば、連絡無しのケースが大半です。
なぜなら、借金の時効の援用が成立すれば、借金が消滅して債権者は債務者に返済を求められなくなるからです。いつまでも連絡が来ない場合は、逆に安心してください。
債権者からすぐに連絡がきたケースのほうが何かとトラブルになりがちです。
例えば、「借金をするときに作成した書類を返したいのでお会いしたい」など、言葉巧みに債務者を呼び出し、時効の援用が成立していても借金を返すように迫る可能性もあります。
債権者から「直接会って話がしたい」など曖昧な理由で呼び出された場合は、出向かずに弁護士などに相談してください。
「時効の援用を認めない」などの返事が来た場合も同様です。実は、時効の援用は債権者が認めなくても成立します。しかし、時効援用手続きが債権者を刺激してしまうことがあるので注意しなくてはなりません。
結果的に、「ずっと債権者から連絡がない」場合は、ひとまず安心していいでしょう。
なお、「郵便事故などで、相手に時効の援用の連絡が届いていないのでは?」と心配する方もいますが、内容証明郵便を利用しているので、その心配はありません。
内容証明郵便は、「誰が、誰に、どのような内容の郵便を送ったのか」を郵便局が証明するものです。
債権者が「時効援用の通知を受け取っていない」と訴えても、内容証明郵便で送っている限り、すぐに嘘であることが証明できるでしょう。
時効援用通知書を送ってから「2週間連絡なし」の場合
時効援用の通知書を送付して2週間以上何の音沙汰もなければ、借金の時効が成立している可能性が高いと言われています。
なぜなら、時効の援用を認めない場合、債権者はすぐに何らかのアクションを起こすことが多いからです。
例えば、相手が消費者金融など業者の場合は、時効の援用の期日が間違っていないかどうかを確かめ、もし、時効の更新が可能ならばすぐに手続きをするでしょう。
このような理由から、「2週間連絡なし」の場合は時効援用が成立した可能性が高いと言われています。
ただし、2週間債権者から連絡がないからといって「確実に時効の援用が成功している」とは限らないので注意が必要です。例えば、金融業者がもう少し時間をおいてから連絡してくることもあるでしょう。
相手が個人の場合も同様です。個人の場合は時効援用の通知を受け取った後で弁護士などに相談し、アクションに出るケースもあります。
このほか、安心したころに「借金を返せ」などの通知が届く可能性もあります。
しかし、時効の援用が成立しており、時効の更新や時効完成の猶予が認められないならば、対応する必要はありません。
債権者からの連絡がしつこい場合は、弁護士に相談してください。
なお、時効援用の通知書を送ってすぐに新しく借金をするのも控えましょう。時効援用の通知書を送ったからといって、即座に信用情報が回復するとは限りません。
信用情報が回復していない状態では、借金ができない場合もあります。同様に、高価な品物をローンで買うなども控えてください。信用情報が回復していない場合、ローンが組めません。
時効の援用が成功したかどうか「確実」に調べる方法はある?
時効の援用が成功したかどうかを確実に調べる方法はいくつかあります。
ここでは、以下の3つの方法で時効の援用が成立したか、確認する方法を紹介します。
- 信用情報機関の情報開示を求める
- 債権者に電話で連絡して確かめる
- 弁護士に相談して対応してもらう
なお、それぞれの対応にはメリットデメリットもあり、それも詳しく解説するので参考にしてください。
時効の援用が認められれば債権者から連絡がない可能性が高いとわかっても、「本当に時効が成立したのか」と不安に思う方もいるでしょう。
以下の表は、それぞれの対応方法の特徴をまとめたものです。確実性を求めるならば、弁護士に依頼しましょう。
内容 | リスク | 対応速度 |
---|---|---|
信用情報機関に情報開示を求める | ほぼない | 開示請求してから一定の時間がかかる |
債権者に電話で連絡して確かめる | 高い | 相手次第 |
弁護士に相談して対応してもらう | ほぼない | 即対応も可能 |
信用情報機関の情報開示をして「事故情報(ブラックリスト)」が消えているか確認する
信用情報機関とは、クレジットやカードローンなどの利用履歴を記録しておく機関の総称です。
金融機関から行った借金に関する情報も記載されており、借金の時効援用が成立すれば情報が消滅したり訂正されたりします。
信用情報機関に情報開示をおこない、借金の記録が消滅・もしくは訂正されていれば借金の時効は成立したと証明できます。
信用情報機関の種類や特徴は以下の通りです。
名前 | 特徴 |
---|---|
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 貸金業法と割賦販売法にもとづいて内閣総理大臣より指定されている 加入組織はクレジット会社や銀行の他、携帯電話会社やリース会社・消費者金融などがある |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 貸金業法にもとづいて内閣総理大臣の指定を受けており、加入している会社は3つのうちもっとも多い。 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 一般社団法人全国銀行協会が運営する信用情報機関。 ネット銀行や地方銀行・農協・漁協など銀行関係の金融機関が加入している |
開示請求を求める場合は、自分が借金をした金融機関がどこに加入している可能性が高いか確認したうえで、開示請求を行いましょう。
なお、信用情報機関同士では情報の共有が行われているので、複数の信用情報機関に借金の記録があっても、1社で消滅・もしくは訂正が行われれば、その情報は共有されるので安心です。
情報開示の方法は「インターネット経由」と「郵送」の2種類があります。
なお、JICCのみ専用アプリを使うのでインターネット経由で開示請求をする場合は、スマホを利用してください。
ほかの2つの機関はパソコンとスマホ、両方から開示請求が可能です。
郵送のほうが開示まで時間がかかるため、早めに開示を認められたい場合はネットを利用するのがいいでしょう。
手数料は1,000~1,500円で、開示請求をした結果情報が記載されていない場合でも返還されません。なお、信用情報機関に情報の削除や訂正を求めるのは、債権者側です。債務者側からアクションは起こせません。
債権者がアクションを起さなければ、時効が成立しても借金の情報は残ったままとなります。つまり、開示請求をしていて借金の記録が残っていても時効が成立していない、とは限らないのです。
確実に借金の時効援用が成立しているか確かめたい場合は他の方法を取りましょう。
また、信用情報機関では個人の借金は記載されていません。
個人間で借金をした場合、この方法は使えないので注意しましょう。
債権者に電話をして確かめるのは確実だが「リスク」を伴う
債権者に債務者が直接電話をかけて借金の時効援用が成立しているかどうかを確かめれば、確実に成立しているかどうかがわかります。
ただし、債権者と直接連絡するにはリスクもあります。
借金の時効を成立させる条件に「債権の承認をしていない」ことがありますが、債務者の回答次第によっては、債務の承認と受け取られる可能性もあるでしょう。
特に、借金をした相手が違法な業者だった場合、言葉巧みに言質を取られる恐れがあります。
後で債務者が「あれは債務の承認の意味で言ったことではない」と主張しても、それを証明するのはとても困難です。
また、個人間の借金の場合は会話しているうちに相手が感情的になって「何が何でも借金を払ってもらう」と思われてしまう可能性もあるでしょう。
借金が時効を迎えて消滅するのは、金額の大小にかかわらず債権者にとっては痛手です。
「はい、そうですか」と素直に認めたくない債権者も多いため、債権者に電話するのは最終手段と考えてください。
初めから時効の援用のプロ(弁護士)に相談する
借金の時効援用の手続き代行を弁護士に依頼すれば、時効が確実に成功したかどうかの確認も任せられます。
借金の時効援用の手続き自体は、決して難しくはありません。
やり方がわかれば自分でも手続きが可能です。
しかし、前述したように借金の時効援用の手続きは一筋縄ではいかないケースもあります。
特に時効が成立する時期を間違ってしまうと、債権者に時効の更新や時効完成猶予の手続きを行われる可能性もあるでしょう。
せっかく時効の成立が間近だったのに時効の更新が行われれば、また時効成立まで5~10年間待たなければなりません。
一方、弁護士に依頼すれば借金の時効援用に必要な書類の作成から送付まですべて任せられます。それに加えて、債権者との交渉も依頼できます。
借金の時効援用手続きは、弁護士のほか司法書士や行政書士にも依頼可能です。費用だけみると司法書士や行政書士のほうが安価ですが司法書士や行政書士ができる業務が限られています。
行政書士は書類の作成代行は可能ですが、債権者との交渉はできません。司法書士は1件140万円を超える借金の時効援用の手続きは不可です。あらゆる事態に対応できる法律家は弁護士だけです。
始めに司法書士や行政書士に依頼し債権者とトラブルが起きてから弁護士に相談すると余計に費用と手間がかかります。万全を期したいならば、最初から弁護士に依頼しましょう。
トラブルが起きても安心です
時効の援用に成功すれば信用情報も回復するのか
借金の時効援用に成功すれば、原則として信用情報も回復します。
なぜなら、時効の援用が成立すれば、債権者が債務者に返済を求める権利を失うため、借金は消滅したとみなされるためです。
信用情報が傷ついた状態とは、例えば「債務の返済が遅れる」「債務の返済が滞る」「債務の返済が滞り、保証履行が行われた」など、いわゆる金融事故の情報が記載されることです。
通常、債務整理で借金を減額したり免除したりしてもらえばその事実も記載されますが、借金の時効援用が成立すれば、借金に関する記録だけが削除されたり訂正されたりします。
この削除や訂正が信用情報の回復にあたります。
金融事故の情報が消滅・訂正すれば、第三者が信用情報を確認しても消滅した借金については確認できません。ですから、借金の時効援用に成功すれば、原則として信用情報が回復すると考えていいでしょう。
ちなみに、信用情報が一度傷ついてしまえば、新しくローンを組めなかったりクレジットカードが作れなかったりするなど、社会生活に支障が出る可能性もあるため、信用情報の回復は重要です。
信用情報が回復できるのはあくまでも時効援用が成功した借金だけです。債務者が複数の借金をしている場合、時効援用が成立していない借金の情報はそのまま残ります。
さらに、時効の援用が成立しても「債権者が信用情報機関にその旨を報告」しなければ、信用情報が傷ついたままです。前述したように、債務者のほうから信用情報機関にアクションを起して情報を削除や訂正を求めることはできません。
その点、弁護士に時効援用の手続きを依頼すれば、債権者と交渉して信用情報の回復を働きかけることができます。
当事務所も信用情報の回復の交渉もおこなっているため、確実に信用情報を回復させたい場合は、ご相談ください。
なお、「信用情報を早く回復できる方法がある」と宣伝している業者もありますが、原則として信用情報を早く回復する方法はありませんので、注意してください。
時効の援用に失敗していたケースの対処法は?
時効の援用を自分で行った場合、失敗する可能性があります。
そうなった場合、対処法は以下の2つです。
- 地道に借金を返済していく
- 債務整理をおこなって借金の減額や返済見直しをしたうえで返済していく
時効援用に失敗すると債権者が時効の更新や時効完成猶予を申請し、時効が振り出しに戻るケースもあるでしょう。
また、時効の援用が成功していたのに債権者と不用意に交渉した結果債務の承認が行われたとして借金の時効が認められなくなるケースもあります。
債務整理の種類と内容は、以下の表のとおりです。
任意整理 | 債権者と交渉して借金が返せるように改めて返済方法を見直す | 主に将来利息をカット 元金を3~5年かけて返済できるように調整 |
個人再生 | 裁判所に申し立てを行ない、借金を大幅に減額して無理なく返済できるようにする | 借金を5分の1~10分の1程度に減額し、原則として3年(最長5年)で返せるように調整 |
自己破産 | 裁判所に債務の免責の申し立てをおこない、借金の返済を免除してもらう手続き | 借金の返済が免除される |
自己破産をすれば借金の返済自体が免除されますが、家をはじめとする財産の大部分の処分が求められます。
できるだけ財産を処分することなく債務整理を行うなら、任意整理か個人再生がおすすめです。
債務整理を得意とする弁護士に相談すれば、どちらが適しているのかアドバイスをもらえるうえ、債権者との交渉も依頼できます。また、借金をした時期や返済した額によっては過払い請求を行なえます。
過払い請求が認められれば、借金の時効援用に失敗しても借金がなくなる可能性があります。
債務整理は、弁護士に依頼するのが最も確実です。
借金は返済が滞ると利子が膨らんでますます返済がしづらくなります。借金の時効援用に失敗し返済が求められた場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、経済的に負担なく借金を返済できる方法を探っていきましょう。
なお、インターネットを検索すれば「自力で債務整理を行う方法」といったページもヒットしますが、個人で任意整理や個人再生、自己破産の手続きをするのはとても大変です。
費用に関しては分割払いも可能なので、無理をせず弁護士に相談してください。
「借金が本当になくなったのかな…」と不安に思う前に弁護士に相談を
もし、「借金が本当になくなったのか?」不安な場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
なぜなら、債権者によっては時効の援用通知が届いたことがきっかけでアクションを起すこともあり、その結果新しいトラブルが発生する場合もあるからです。
例えば、弁護士は手続きの代行はもちろんのこと、債権者との交渉も行なえるのでトラブルが起こっても安心です。また、弁護士に依頼すれば、借金の時効成立の時期を間違えるなど個人で起しがちなミスもありません。安心して全てを任せられます。
以上のことから、できるだけスムーズに借金の時効援用手続きを行いたい場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。そして、「借金の時効援用手続きの実績が豊富な事務所」に依頼をしましょう。
弁護士事務所にも得て不得手があり、全ての事務所が借金の時効援用手続きを依頼できるわけではありません。
当事務所は時効援用の手続きについて豊富な経験があります。時効援用はもちろんのこと、債務整理のご相談も承っていますので、借金の返済にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。