時効の援用をしたら住宅ローンが組めるようになる?ブラックリストから本当に消えるのか解説

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借金の時効を経過していて、時効の援用を行おうと思っている人もいるでしょう。時効の援用を行う際に気になるポイントはいくつかありますが、住宅ローンが組めるようになるのかどうかを気にしている人も少なくありません。

この記事では、時効の援用後に住宅ローンが組めるようになるのかを解説します。基本的には、住宅ローンも車のローンも審査ポイントは大きく変わりません。今回は住宅ローンにスポットを当てますが、ローン全般に当てはまることなので、車のローンなど他のローンを組みたいと思っている場合も参考にしてください。
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時効の援用に成功しても確実に住宅ローンが組めるわけではない

「時効の援用の成功=住宅ローンが組めるようになる」というわけではありません。

なぜなら、時効の援用を成功させることはあくまでも「住宅ローンを組めるようになるための要素の1つ」でしかないからです。

住宅ローンを利用するためには、さまざまな審査項目があり、それらをクリアしなければいけません。

借金の返済遅延などのトラブルを解消することは、住宅ローンを組むために必要なことです。時効の援用を成功させることで住宅ローンを組める可能性は生じますが「必ずしも住宅ローンが組めるようになるわけではない」ため、注意しましょう。

次項では、時効の援用が消えることでブラックリストから消えるのか、信用情報が回復するまでの期間目安などを解説します。

時効の援用が成功すると信用情報機関のブラックリストから消える?

時効の援用に成功すれば信用情報機関のブラックリストから消えますが、失敗してしまうと消えません。なぜなら、「時効の援用に失敗する=借金の返済義務が消滅しない」からです。

時効の援用とは、借金の時効が過ぎた際に債権者に対して「時効が完成したため借金の返済義務はない。だから返済しない」という意思表示をすることです。時効の援用に成功すれば、その債権者からの借金を返済する義務がなくなります。しかし、時効の援用に失敗すると、「借金の返済義務は消滅しない=借金が残ったまま」ということになるので注意しましょう。

例えば、借金を支払わないままでいると、信用情報に事故情報として登録されます。これが、いわゆる「ブラックリスト入り」と呼ばれているものです。借金を返済しない間はブラックリスト入りしたままの状態になりますが、時効の援用に成功すると完済した際の表記である「完了」になる、もしくは記録が消えます。

時効の援用に失敗した場合は、ブラックリスト入りしたままです。事故情報が消えないだけでなく、時効成立までの期間が伸びてしまうため注意が必要です。

時効の援用に失敗した場合、時効がリセットされます。時効の援用が失敗した時からまた時効がスタートするため、時効成立までの期間が伸びてしまうのです。

このように、時効の援用に成功すればブラックリストから消えますが、失敗してしまうとブラックリストから消えません。それだけでなく、時効がリセットされるため時効成立までの期間が伸びてしまうため注意しましょう。

信用情報が回復するまでの期間目安

信用情報が回復するまでの期間目安は、1~3か月程度です。時効の援用が成功してから1~3か月後に事故情報が消えるケースが多いようです。ただし、信用情報機関にも種類があり、各機関によって対応は異なります。それぞれの信用情報機関の特徴は以下のとおりです。

特徴・時効情報が消えるまでの目安
JICC(株式会社日本信用情報機構)・主に消費者金融が加盟
・時効の援用に成功した場合、時効の起算日にさかのぼって事故情報が削除される
・期間の目安は1か月程度
CIC(株式会社シー・アイ・シー)・主にクレジットカード会社や信販会社が加盟
・時効の援用に成功した場合、返済状況の欄に「完了」が登録される
・情報自体は5年間残り続ける
・「完了」が登録されるまでの期間の目安は2か月程度

このように、信用情報機関によって時効の援用が適用された場合の対応は異なります。JICCの場合には、時効の援用が登録されることによって事故情報が削除されます。つまり、JICCの情報上では借金の延滞がなかったのと同様の状態になるということです。

CICの場合には、返済状況の欄に「完了」と記載され、その後5年間はこの情報が残り続けます。5年後には情報が削除されるため、借金の延滞がなかったのと同じような状態になります。

ブラックリストから消えていることは住宅ローンを組むための「1要素」に過ぎない

そもそも、ブラックリストから消えていることは住宅ローンを組むための1要素に過ぎません。時効の援用によってブラックリストから消えたからといって、必ずしも住宅ローンを組めるというわけではないので注意しましょう。

時効の援用後に住宅ローンの利用を考えているのなら、ブラックリストから消えていることだけでなく、さまざまなポイントを意識しなければいけません。

次章からは、住宅ローンを組むためのポイントについて解説します。

時効の援用後に住宅ローンを組むなら「信用情報が何もない状態」を脱却しよう

時効の援用後に住宅ローンを組むのなら、信用情報が何もない、いわゆる「スーパーホワイト」と呼ばれる状態を脱却することが大切です。なぜなら、信用情報が何もないまっさらな状態だと、住宅ローンの審査に通過することが非常に難しいからです。

スーパーホワイトとは、何の情報もない完全に真っ白な信用情報を指します。この状態の場合、借金の長期延滞をしたという情報は消えています。しかし、スーパーホワイトは過去に何らかの金融事故があった、破産などをしたという人の特徴でもあります。

もちろん、実際にクレジットカードやローンを一度も利用したことがないという場合もスーパーホワイトです。しかしその場合でも、どの程度の返済能力があるのかという客観的な判断材料がありません。

例えば、クレジットカードを毎月利用していて返済を遅れずに行っている場合にも信用情報に登録されます。返済を遅れずに行っているという実績が積み重なるため、返済能力があると判断される可能性が高いでしょう。しかし、スーパーホワイトの場合は何の情報もありません。きちんと返済できるのかを判断するための材料がない状態です。そのため、大きな金額で金利の低い住宅ローンの審査では、落とされてしまうケースが多いようです。

そのため、まずはスーパーホワイトの脱却を目指しましょう。スーパーホワイトの状態を脱却する方法としては、以下で紹介する2つの方法がおすすめです。ぜひ、参考にしてください。

クレジットカードを発行し利用する

まずは、クレジットカードを作成して、一定期間利用しましょう。なぜなら、クレジットカードを作って使用実績を作る=しっかりと支払いを続けるということになるため、信用情報にプラスの情報として記載できるようになるからです。

例えば、グレードの高いクレジットカードではなく、初心者でも利用しやすいとされているクレジットカードに申し込みをして利用を始めるとよいでしょう。実績を作るために、無理のない範囲でクレジットカードを利用して、毎月の支払いをしっかり行います。この際、公共料金などの支払いにクレジットカードを使ってもいいです。

クレジットカードを利用する上で注意したいのが、遅れずに支払いをすることです。延滞を続けてしまうとまた事故情報として登録されてしまうので、無理のない範囲で利用することや、利用明細をこまめにチェックした使いすぎないことなどを意識しましょうね。せっかくプラスの情報を積み重ねようとしているのに、支払いが遅れて事故情報として登録されたら意味がありません。

クレジットカードを定期的に利用して支払いを積み重ねていくことで、支払いをきちんと行ったという実績が作られるため、信用情報においてはプラスの情報となります。

カードローンなど住宅ローンよりもハードルが低いローンを組む

カードローンなどの住宅ローンよりもハードルの低いローンを組むのもおすすめです。なぜなら、カードローンを利用して返済をすることで、クレジットカードの利用と同様に返済能力があると判断されるようになるからです。プラスの信用情報を積み重ねることができるので、カードローンの利用も検討しましょう。

例えば、カードローンの中には審査があまり厳しくなく利用しやすいものがあります。基本的には金利の低い銀行系のカードローンなどは審査が厳しいといわれていますが、小売業者などが提供する流通系や信販会社の提供する信販系、消費者金融系などはスーパーホワイトでも比較的利用しやすいです。

ただし、カードローンを利用する際に支払いを延滞したのでは本末転倒です。無理に利用すると借金が増えてしまい、返済できないという事態にもなりかねません。そのため、カードローンを利用する際には返済できる額だけ利用するようにしましょう。

無理に多くのお金を借りる必要はありません。確実に毎月返済できる分だけ借りること、無駄なお金を借りないことを意識してカードローンを利用し、スーパーホワイトからの脱却を目指しましょう。

住宅ローンに通過するために抑えておきたいポイント

住宅ローンの審査を通過するためには、主に20項目ものポイントがあります。

  • 完済時年齢
  • 健康状態
  • 担保評価
  • 借入時年齢
  • 年収
  • 勤続年数
  • 連帯保証
  • 金融機関の営業エリア
  • 返済負担率
  • 融資可能額(融資率)<br>①購入の場合
  • 雇用形態
  • 融資可能額(融資率)<br>②借換えの場合
  • 国籍
  • カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
  • 申込人との取引状況
  • 業種
  • 家族構成
  • 雇用先の規模
  • 所有資産
  • 性別

安定した毎月の収入を確保する

実践しやすく審査通過のための重要な項目としては、「収入」が挙げられます。安定した毎月の収入を確保しましょう。なぜなら、安定した収入があることで返済能力があると判断されやすいからです。年収が多かったとしても、安定した収入がないことで審査に落ちてしまうケースもあるようです。

住宅ローンを組んだ場合、長期間にわたって返済を続けていきます。そのため、今現在の年収の高さだけではなく、継続して安定した収入が得られる安定性が重視される傾向にあります。

一般的には、住宅ローンの審査に通過する年収の下限は300万円程度が目安とされています。ただし、勤続年数が短い、自営業やフリーランス、非正規雇用などで収入に波が生じやすい場合は、審査が厳しくなる可能性もあります。そのため、安定した収入を確保することを意識しましょう。

良い例
  • 会社員として7年間勤務しており、毎月30万円の給与をもらっている
悪い例
  • 転職を繰り返しており勤続年数が1年半、毎月30万円の給与をもらっている

同じ収入であっても、勤続年数が長い方が安定した収入を継続的に得やすいと判断されます。転職を繰り返していても、収入がアップしている、大手企業などに転職しているという場合には有利に働くケースもあります。しかし、基本的には勤続年数が長い方が昇給などによる収入増が望めるため、安定していると判断されるケースが多いでしょう。

そのため、できるだけ長く同じ企業に勤めて、毎月安定した収入を得られるようにすることが大切です。

カードローンなどその他の借入がある場合は極力減らしておく

カードローンなど、その他の借入がある場合には極力減らしておくとよいでしょう。なぜなら、カードローンなどの利用状況によっては審査に通りにくくなる可能性があるからです。カードローンやその他の借入があるからといって、必ずしも審査に通らないというわけではありません。しかし、借入残高や利用状況によっては住宅ローンの審査に通りにくくなる可能性もあるでしょう。

例えば、以下のような場合は注意が必要です。

  • 複数のカードローン会社を利用している
  • 完済したカードローンの解約をしていない

住宅ローンの審査では、返済比率が重視される傾向にあります。返済比率とは、年収に占めるローン返済額の割合のことです。返済率が高ければ高いほど、返済が滞る可能性が高いとして審査は厳しくなります。住宅ローンの借入希望額は、他の借入も考慮されるため複数のカードローン会社を利用し、多くのお金を借りている場合は、返済比率を圧迫してしまいます。返済比率の計算式は以下のとおりです。

  • 年間の返済予定額÷額面年収×100=返済比率

一般的には、返済比率が35%以内であれば審査基準を満たしているといわれています。返済比率は住宅ローンと利用中のカードローンの返済予定額で算出しましょう。35%を超えている場合には返済が厳しいと判断されてしまうため、カードローンを完済するなどして返済比率を下げることをおすすめします。

また、完済して利用していないカードローンがあったとしても解約をしていない場合は、そのカードローンの利用限度額を借入金額とみなして審査されてしまいます。これは、カードローンを解約していない=いつでも借入できる状態だと見なされるからです。そのため、利用予定のないカードローンは解約しておくとよいでしょう。

このように、カードローンやその他の借入がある場合には、できる範囲で完済するか借入額を減らしておくようにしましょう。使っていないカードローンの解約も忘れずに行ってください。

時効の援用後に住宅ローンが組めたケースはある?

時効の援用後に住宅ローンが組めたケースもあります。時効の援用に成功して、以下のポイントをおさえれば住宅ローンが組める可能性があります。

  • ブラックリストを解消する
  • スーパーホワイトを解消する
  • 専門家からのアドバイスを受ける

まずは、ブラックリストを解消しましょう。一般的に、時効の援用に成功すれば信用情報の事故情報が消滅、もしくは完了と登録されます。事故情報の取り扱いは信用情報機関によって異なりますが、JICCのみに登録している業者からの借金であった場合は時効の援用が成功した後すぐに事故情報は消滅します。CICの場合は基本的には事故情報自体が消えるまでは5年ほどかかります。

時効の援用後は、信用情報がまっさらになりスーパーホワイトと呼ばれる状態になります。スーパーホワイトのままだと、審査に通らない可能性が高いため、クレジットカードを作って利用し返済実績を貯めるなどして、プラスになる信用情報を積み重ねましょう。

専門家からのアドバイスを受けるのも効果的です。インターネットでさまざまな情報を集められる時代ですが、本当にそれが正しいかどうかは判断するのは困難です。そのため、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

そもそも、時効の援用を成功させなければ住宅ローンを組むのは難しいです。そして、時効の援用は自分で行うと失敗してしまう可能性もあるため、知識や実績が豊富な弁護士に依頼するとよいでしょう。弁護士事務所の中には、信用情報についての悩みに対応してくれる事務所もあります。「信用情報の回復が可能か」「回復できない場合の対応は?」など、親身に相談に乗ってくれる事務所に心当たりがある場合は、まずは相談してみることをおすすめします。

時効の援用の成功は「住宅ローン利用」への第一歩

時効の援用によって、必ずしも住宅ローンを利用できるとは限りません。しかし、時効の援用に成功しなければ、ブラックリストに入ったままの状態になってしまうため住宅ローンの利用は難しいでしょう。そのため、時効の援用の条件を満たしている場合には、時効の援用を行っておくとよいでしょう。

山本綜合法律事務所では、下記の価格にて時効の援用をお引き受けしています。

時効の援用の費用
  • 時効の援用1件につき24,000円(税込み)
  • 内容証明1通につき4,000円(税込み)

当事務所では、トータル28,000円(税込み)とリーズナブルな価格で時効の援用が可能です。追加料金や成功報酬などが後から発生することもなく、費用を抑えながら時効の援用が行えます。

時効の援用の成功は、住宅ローンを利用するための第一歩です。確実に成功させるためにも、知識や実績、経験が豊富な専門家へ相談するとよいでしょう。当事務所は、時効の援用に関する経験や実績が豊富です。必要な書類や提出先などを把握しており、作業の効率化を図っているためコストが抑えられているため、安く時効の援用をお引き受けできます。

住宅ローンの利用に向けて、時効の援用をお考えならぜひ当事務所にご相談ください。