時効の援用とは?失敗を避けるためのやり方や成立条件をわかりやすく解説

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借金を抱えていて悩んでいたら「時効の援用」という方法があることを知った。でも具体的なやり方も専門知識もないから無理なのかな…と悩んでいる方は少なくないと思います。

結論として、時効の援用は条件さえ満たしていれば利用できる「制度」です。ただ、誰でも利用できるわけではなく、専門知識が必要なのも事実。

この記事では「時効の援用」を考えている人向けに、時効の援用を成立させるために必要な知識をわかりやすく解説します。

失敗を避けるための方法も教えているので要チェックです。

<自分で時効の援用をする自信がない人はまずは弁護士に相談を>
時効の援用は個人でも可能です。しかし、失敗リスクが高まったり、時効が遠のいてしまう可能性もあるので注意が必要。

当事務所では、業界最安水準で時効の援用を行っておりますので、お気軽に相談だけでもお問い合わせください。
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目次

時効の援用とは?

時効の援用とは、お金を借りた人(債務者)がお金を貸した人(債権者)に対して「時効が完成した(時効に必要な期間が経過した)ため返済義務がなくなること」を主張する手続きのことです。

ひとこと解説!
  • 債務者=お金を借りた人(時効の援用をする側)
  • 債権者=お金を貸した人

簡単に言えば「借金が時効を迎えたから、もう私に返済義務はありません!」と債権者に伝える行為が「時効の援用」です。

「借金の消滅時効の援用」という表現が用いられる場合もありますが、意味はほぼ同じです。

ただし、以下の条文にもある通り、借金の時効は「自らその権利を主張しない限り効果を発揮しない点」には注意が必要。

“当事者が時効を援用しない限り、時効の効果は発生しないものとされている(民法第145条)”

では、時効の援用をして借金を無くすためにはどうすればよいのでしょうか?

時効の援用をするメリット|借金がなくなるって本当?

時効の援用をする方法を知る前に、まずは「メリット」を確認しましょう。明確なメリットを知っていたほうが「行動」に移しやすいですからね。

時効の援用をするメリットは大きく分けて3つあります。

  • 借金がなくなり財政的・精神的な余裕が生まれる
  • 信用情報機関から事故情報(ブラックリスト)が抹消される可能性がある
  • 自己破産よりもリスク・ハードルが低い

心理的、財政的メリットがあるので、各項目をしっかり確認していきましょう。

借金がなくなり財政的・精神的な余裕が生まれる

時効の援用に成功すれば、債務者に対する支払い義務(借金)がなくなるため、財政面、心理面の両方で恩恵があります。

借金を抱えている状態は少なからず「精神的負荷」がかかりますからね。さらに支払い義務がなくなれば「普段使えるお金」も増えます。

長年頭を抱える要因になっていた「借金」が消える可能性があることが「時効の援用最大のメリット」といえるでしょう。

信用情報機関から事故情報(ブラックリスト)が抹消される可能性がある

時効の援用が成功すると、信用情報機関(CIC・JICC)に記録された事故情報を消せる可能性があります。別の表現では「ブラックリストから消える」と言われることもあります。

事故情報(ブラックリスト)とは、クレジットカードや家賃、借金の返済の「滞納」を始めとした金融事故を記録したデータのことです。

信用情報機関のブラックリストに載っていると、以下のことが難しくなります。

  • クレジットカードの発行
  • 住宅ローンの審査
  • 賃貸契約の審査
  • 消費者金融からの借入

逆に言うと、時効の援用が成功してブラックリストから消されれば、上記の項目が「可能になるかもしれない」ということです。

自己破産よりもリスク・ハードルが低い

借金をなくす方法に「自己破産」がありますが、時効の援用は自己破産と比べて「リスク・ハードル」がとても低いです。

自己破産時効の援用
裁判所に対して、支払い能力がないことを伝え、借金の支払いを免除してもらう行為。適用条件も時効の援用と比較して多い。
ブラックリストに載るため、クレカやキャッシングサービス等は5~10年間利用負荷になる。
債権者(お金の貸し手)に対して、借金が時効を迎えたことを伝える行為。
クリアすべき条件のハードルも自己破産と比べて低い。ブラックリストにも記録されない。

自己破産は「どうしても支払えない状況にある人」が対象となりますが、時効の援用は「時効が成立している人」であれば、支払い能力の有無は関係ありません。

「自己破産をするしかないのかな」と不安に思っている方は、まず「時効の援用ができないか」を確認しましょう。

時効の援用の成立条件は何がある?

時効の援用は、時効を迎えていればなんでもOKというわけではなく、下記3点をクリアしている必要があります。

  • 時効が成立していること(借金の消滅時効の期間経過)
  • 債権者から裁判を起こされていない(時効の更新がされていない)
  • 借金があることを認めていない(債務の承認がされていない)

それぞれの判断ポイントを説明します。

時効が成立していること(借金の消滅時効の期間経過)

大前提として、時効の援用をするためには「借金の消滅時効の期間」が経過している必要があります。

基本的に、債権者が規定した「返済期限」から数えて「5年経過」していれば借金の時効は完成しています。

ただし、5年という規定は「2020年4月1日以降に成立した債権の場合」であることに注意が必要。

2020年4月1日以前に成立した債権の場合は「10年または5年経過」で消滅時効が成立します。

10年のケース例5年のケース例
貸金業者・消費者金融
信用金庫住宅ローン
商事債権(商人同士の取引によって生じた債権)
銀行

2020年4月1日以降の債権の場合、判断はしやすいものの、援用をしたいのは「それ以前」のものが多いと思います。

「10年なのか5年なのか判断ができない!」という場合は、自分で援用をするのではなく弁護士などのプロに相談するようにしましょう。

時効の援用に失敗してしまうと、借金の消滅が遠のいてしまう可能性があるからです。

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債権者から裁判を起こされていない(時効の更新がされていない)

債権者は、時効の更新をする権利を有しています。

もし、債権者が裁判等で「時効の更新」をしていた場合、「更新された時点からさらに規定年数」が経っていないと時効の援用ができません。

一番避けたいのが「時効の更新に気づかず、援用をしてしまうこと」です。

時効の更新がされているにも関わらず、時効の援用をしようとすると「時効の完成」がさらに遠のいてしまいます。

ですから、過去に「裁判所から支払督促や訴状」が来ていないか必ず確認しましょう。

借金があることを認めていない(債務の承認がされていない)

「借金があることを認めていないってどういうこと?」と思うかもしれませんが、簡単にいうと「途中で返済をしていたり、分割払いの契約を結んだりする行為」のことです。

時効の完成後に借金を返す意思表示を書面や口頭でした場合「時効の援用を放棄した」と判断されてしまうので、要注意。

時効が完成されるまでの期間に、支払いや承認行為をしていないか確認しましょう。

時効の援用で失敗を避けるために知っておきたい注意点・デメリット

時効の援用をすること自体にデメリットはありません。しかし、時効の援用をして「失敗」してしまうとデメリットが生じてしまうケースも少なくありません。

お金がもったいないから自分でやろうと早合点してしまう前に、デメリット、注意点を確認したうえで、冷静な判断をするようにしましょう。

時効の援用に失敗すると遅延損害金を請求される可能性がある

時効の援用に失敗すると「支払い義務が生じて元金+利息」に加え、遅延損害金も請求されてしまうリスクがあります。

また、1度失敗してしまうと再度時効が完成するまで5年かかりますし、債務があることの「精神的負荷」も大きくなってしまいます。

時効の援用をする際は「ほぼ間違いなく失敗しない状態」まで、周到な準備をするべきです。

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時効の更新をされると時効の援用は難しくなる

債権者(お金を貸した側)が、時効の更新をしている場合、時効の援用が難しくなってしまいます。

支払督促や訴状が来ていれば「まだ時効の援用はできない」と分かりますが、引っ越しをしたために「裁判所からの書類」に気づかないケースには要注意です。

時効の更新に気づかず、時効の援用通知をしてしまうと「失敗」してしまいます。

ただ、裁判が起こされているかどうか自分で調べるのもハードルが高いため、専門知識がない場合は素直に専門家に頼るほうが「費用対効果が高い」といえるでしょう。

時効の援用が可能かどうか自分で判断するのは難しい

そもそも論ですが、時効が完成しているか判断しているかするのは困難です。

次の章で時効の援用のやり方を説明しますが、時効の援用をするためには以下の調査・書類作成が必要です。

  • 信用情報の開示
  • 時効援用通知書の作成
  • 内容証明郵便で債権者に送付する

知り合いに、弁護士や司法書士の方がいれば話は別ですが、知識なしに時効の援用をするのはリスクが高いことを覚えておいてください。

時効の援用のやり方

時効の援用は以下4ステップで行うことができます。

  1. 信用情報の開示をする
  2. 時効援用通知書を作成する
  3. 債権者に内容証明郵便を用いて時効援用通知書を送る
  4. 自分が債務の承認をしないまま債権者が時効の援用を認めれば完了

それぞれのポイントを説明していくので「自分が何をすべきか」を確認しましょう。

【前提】時効の援用は自分でもできる?

時効の援用をするために必要な資格等はないため、自分で行うことは可能です。

しかし、自分で行うためには一定の労力と時間を要します。特に慣れない信用情報の開示請求や、時効援用通知書の作成にはストレスを感じてしまう方も多いはず。

当事務所では28,000円という一律料金で時効の援用を代行しておりますので、面倒な手続きを踏むのは嫌だという方は一度ご相談ください。

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信用情報の開示をする

まず、以下の信用情報機関に「情報開示」を求めて時効が成立しているかを調べます。

  • CIC
  • JICC
  • 全国銀行個人信用情報センター

基本的にどの機関も同じ情報を保有していますが、利用日時がかなり古い場合には異なる場合もあります。

10年以上前の借金に対して、時効の援用をする際は3社に請求をしたほうが安全です。

信用情報を開示したら以下の項目をチェックします。

  • 契約年月日/貸付日契約日→5年(10年)以上経過しているか
  • 出金日利用日→5年(10年)以上経過しているか
  • 返済状況/異動参考情報
  • 入金状況/入金日/最新支払日→5年(10年)以上経過しているか

時効援用通知書を作成する

信用情報を確認して、時効が完成していると判断できたら「時効援用通知書」を作成します。

時効援用通知書とは、債務者に対して「消滅時効を利用することを通知するため」の種類です。

時効援用通知書の書き方

時効援用通知書に記載すべき主な項目は以下の通り。

  • 消滅時効の援用通知書だとわかる題名
  • 宛先
  • 消滅時効を援用することの意思表示
  • 債権の種類
  • 契約日
  • 最終弁済日
  • 残元金
  • 作成日時

債権者に内容証明郵便を用いて時効援用通知書を送る

時効援用通知書は必ず「内容証明郵便」で債権者に送る必要があります。

理由は、いつ、どの書類を送付したか記録しておく必要があるからです。

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

(日本郵便 内容証明より引用)

普通郵便で送ってしまうと「送った送っていない論争」のきっかけにもなってしまうため、必ず内容証明郵便で送るようにしましょう。

自分が債務の承認をしないまま債権者が時効の援用を認めれば完了

時効援用通知書の送付後、特に相手からアクションがなく、自分が債務の承認をしなければ時効の援用が成立します。

時効の援用が成立するまでにかかる期間目安は?

一般的には、1~3ヶ月程度かかると言われています。必要期間は「時効が成立していることを証明する情報の集めやすさ」とある程度比例すると思ってください。

証明するための書類や情報がある程度揃っている状態であれば1ヶ月程度、何も手元にない状態からだと3ヶ月程度かかるということです。

時効の援用で失敗しないためには「弁護士」に相談・依頼をするのがおすすめ

ここまで読んできて「自分でできるか不安になってきた」と思っている方も多いのではないでしょうか。

たしかに、専門家への依頼は費用がかかります。ただ、その分あなたは「自由な時間と不安解消」を得ることができます。

それぞれ経済的な事情があるため、弁護士への依頼がベストとは言えません。

しかし、もし予算に余裕があるのであれば、業界最安水準の当事務所にご相談いただければ、あなたの「不安解消」をお手伝いいたします。

時効の援用を弁護士に依頼する場合の費用相場

時効の援用の費用相場は「債権者(1社)」あたり3万円〜5万円程度と言われています。

複数社に対して、時効の援用をするとなると10万円を超えてしまう可能性もあります。ただ、当事務所では以下料金体系で行っているため、経済負担をできるだけ少なくすることが可能です。

時効援用の費用
  • 時効の援用 1件 税込み24,000円
  • 内容証明  1通 税込み 4,000円

価格は2つだけ、追加料金や成功報酬はありません。

違いは、時効完成後に完成の確認書などを交付しない債権者に対しては、手続きをした事の証明を残す為に内容証明郵便を使って手続きをいたします。

1社のみでも対応可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

お困りのことがあればお気軽に
ご相談ください

まとめ

時効の援用はあなたの今後の「経済状況」を大きく変えられる可能性があります。一人で悩まず、専門家にまずは相談から始めてみましょう。

QA
時効の援用に関するよくある質問

時効の援用の失敗例を教えてください

時効が完成していなかった、債権者から裁判を起こされていた、時効援用通知書に不備があった、この3パターンが主な失敗例です。

時効の援用の成功率は9割程度と言われていますが、残りの1割は「自分で行って失敗したケース」が多いことが推測されます。

時効の援用を電話で伝えるのは問題ありませんか?

時効援用通知書を内容証明郵便で送るのが一般的です。しかし、書面でないといけない等の法律上の規定はないため問題はありません。

ただ、書面とは異なり「相手方が認めたこと、時効の援用をしたこと」の証明が難しくなるため、電話での時効の援用はおすすめしません。

時効の援用を自分で書くことは現実的に可能ですか?

はい。特段難しい項目もないため、時効援用通知書を自分で作成することは可能です。

主な記載事項
  • 消滅時効援用通知書だとわかる題名
  • 宛先
  • 消滅時効を援用することの意思表示
  • 債権の種類
  • 契約日
  • 最終弁済日
  • 残元金
  • 作成日時

時効の援用が失敗してしまった場合どうすれば良いでしょうか

自分でどうにかしようとせず、弁護士を始めとした「専門家」に相談しましょう。早期相談で問題解決できる可能性があります。